NPO法人 日本ファミリーカウンセリング協会
Japan family Counseling Association:JFCA
相談内容
不登校
■「不登校」とは
「不登校」は非常に厄介な問題です。
ネットで、「不登校」で検索すると様々な情報がヒットします。
その中で、どの情報が正しいのか、判断することは簡単ではありません。
「不登校」は、どこに相談すればいいのか、どの本を読めばいいのか、どの情報を信じればいいのかなどが非常に分かりにくい問題です。
よって、支援のためのより良いルートに行きつきにくいのが現状です。
そういう意味で「不登校」は非常に厄介な問題です。
どうしてそういう状況になっているのでしょうか。
「不登校」は疾病単位ではなく、単に現象を指すあいまいな言葉です。様々な立場の人たちが誰でも独自の意見を言うことができます。
専門的な知見からの意見もあれば、経験からの意見もあります。
「不登校」と問題を捉えてしまうと何でも言えてしまうわけです。
様々な情報の中からどの情報にアクセスすればいいのかが非常に分かりにくくなってしまっているのが現状です。
よって、逆説的に言えば、お子さんが不登校になった場合、「不登校」で検索しない、不登校の専門家を探さない、不登校の本を読まないことをお勧めします。
「不登校」はあくまでも状態であり、なぜその状態になったのか、なぜその状態が維持されているのかなど、要因により対処方法が大きく異なります。
要因を明確にして初めて効果のある対処方法が見つかります。
「不登校」と考えてしまうと効果的な対処方法に行きつきにくくなります。
要因を考える際、確からしい観点の1つは、例えば、DSM-5です。この観点から考えると、我々の意見としては、不安症、うつ状態、その他の精神疾患、発達障害の二次障害が不登校の要因と考えられます。
我々は不安症的要因と発達障害の二次障害が一番多い要因だと考えています。
発達障害的傾向が要因になっている場合は、不安症的要因が緩和し学校に戻っても、適応しにくい環境のままであればまた行きにくくなります。不安症の緩和と発達障害への支援のセットが必須になることも多いと考えます。
ハラスメント(体罰やいじめなど)が影響している場合もあります。その場合は、早急に具体的に介入する必要があります。
■不登校のアセスメント
要因を明確にするプロセスをアセスメントと言います。
要因ごとに対処法が異なり、その対処法を得意とする支援機関・者も異なります。よって、アセスメントがあって初めて支援策を考えることができます。
当然ですが、「不登校」というアセスメントはありません。漠然と「不登校」と捉えると支援策を考えることはできません。
アセスメントには、以下のような観点があります。
多くの場合は複数の要因が関係しています。
・臨床心理学:カウンセリングの第一選択肢である認知行動療法や臨床行動分析などの観点からのアセスメントが必要です。主に、回避のメカニズムが重要です。
・発達障害:SLD、AD/HD、ASDなど。
・精神医学:不安症、うつ病、統合失調症など。
・内科:体調不良の訴えがあれば受診は必須です。
・心身医学:起立性調節障害など。
・外的な事象:体罰・いじめなどのハラスメント、友だち関係など
各々の要因に対する支援機関・者の得意・不得意を見極め、多くの場合は複数の支援機関・者を組み合わせて効果的に活用することが必要です。しかし、このように全体を俯瞰する観点で支援策を考える支援機関・者に出会えない場合もあります。そのような場合は、我々を活用することも一考です。
■要因に応じた支援
・不安症
我々は、経験から、不登校の主な要因は不安症や発達障害の二次障害と考えています。
以下、不安症のメカニズムと支援方法を解説します。
不安症とは、特定の人・場所・活動に不安・緊張・恐怖・億劫さなどを感じ、特定の人・場所・活動を避ける状態です。
図
その特定の人・場所・活動に接する5~10分くらい前から、不安・緊張・恐怖・億劫さなどが急激に上昇します。
そして、その特定の人・場所・活動に接することをやめた瞬間に不安・緊張・恐怖・億劫さなどが急激に低下しします。
このいや感じが急激に低下する感じ(すごくほっとする感じ)が脳にとって非常に心地よく、何度か嫌な感じが上昇したときにその場面を避ける行動を繰り返し、結果、避ける行動が習慣化します。この避ける行動を「不安回避行動」とか、単に「回避」と言います。
これが一般的な不登校のメカニズムです。
朝、登校を試み、登校をやめた後は、家の中では、通常の状態に戻り通常の活動をするので、周りから見ると「登校しないでけろっとしている」とか、「さぼっている」などと誤解されることも多いです。
前夜に親から「明日は行ってね」と言われると、不安・緊張・恐怖・億劫さなどが下がっている状態なので、本人も行けると思うので、行く約束をします。
しかし、朝になるとまた同様の状況になり登校できなくなります。
「約束したのに何で登校しないのか」などと親子でトラブルになることもあります。
トラブルが続くと、「学校なんて行く意味がない」などと言うことも多いと思います。
我々は、これまで、多くの不登校の子どもたちを支援してきましたが、苦し紛れで「学校なんて行く意味がない」と言う子はいますが、「行けるなら行きたいよね?」と聞くと否定する子どもに出会ったことはありません。
よって、学校に行く意義を説いてもまったく効果がありません。
学校に行く意義をわかっているのに、登校できない(「回避」する)のが不登校です。よって、「回避」への支援が必要です。
支援が必要なのは登校直前の状態です。
前日に、学校の必要性を説く、約束する、叱責する、励ますなどの働きかけは逆効果になります。このような働きかけは、不安・緊張・恐怖・億劫さなどを強めてしまうことが分かっています。また、マイナス思考を強めることもわかっています。
この登校直前の状態への支援方法は、認知行動療法やACTなど臨床行動分析が基本です。
不安・緊張・恐怖・億劫さなどには内部感覚エクスポージャーが基本です。深呼吸や筋弛緩法などのリラクセーションは、最近の研究ではそれ自体が回避行動なので推奨されなくなっています。
不快な思考、例えば、「みんな自分のことをさぼっていると思っている」などには、認知行動療法の認知再更生法(コラム法)やACTの脱フュージョンが有効です。認知再構成法は効果が出やすい、脱フュージョンは効果が出るまでに少し時間はかかるけれど、効果は大きいと思われます。可能なら脱フュージョンをお勧めします。
発達障害(総論)
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